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海外レポート!

009 ミラノサローネ2021特別展『supersalone(スーパーサローネ)』

昨年は中止となったミラノサローネ。今年は、特別展として『supersalone( スーパーサローネ)』が
開催されました。現地におもむいた数少ない日本人デザイナー、
FILO WORKS(フィーロワークス)/橋口典代さんの、ここでしか読めない現地レポートをお届けします。

FILO WORKS(フィーロワークス)/橋口 典代さん

FILO WORKS(フィーロワークス)/橋口 典代

テキスタイルデザイナー/ディレクター
神戸芸術工科大学/芸術工学部 ファッションデザイン学科 テキスタイルデザイン専攻卒。テキスタイルメーカーのジャガード織物部門で糸開発・染色・製繊のプロとして経験を積み、その後大手インテリアメーカーのチーフデザイナーとして商品開発に携わる。ミラノサローネ、ハイムテキスタイル、プルミエールビジョン、モーダ・モンなどインテリアだけでなく幅広く海外の展示会を毎年視察し、インテリアトレンドセミナーや企業プロ向けの繊維に関するワークショップ・セミナーの講師も務める。現在FILO WORKS(フィーロワークス)代表。
原素材から製品までの幅広い経験を活かし、ファブリックスを主に糸から企画開発する仕事を行う。

2021年12月1日追加!

ミラノサローネ2021特別展『supersalone(スーパーサローネ)』
T-one web オリジナル動画

ミラノに再びデザインの光が灯された待望の展示会
ミラノサローネ2021特別展『supersalone(スーパーサローネ)』

supersaloneのキーワードは「デザイン・共有・持続可能」

ミラノの街に再びデザインの光が灯されました!!
昨年、開催中止となった時はミラノが位置するロンバルディア州はCOVID-19によるパンデミックに襲われました。
今年は4月から9月(9月5日~10日)へ開催をずらし、まだコロナ禍でありながらもフィエラ会場、ミラノ市内は多くの人がデザインの光を求めて動き出しました。

フィエラ会場は4ホールに集約され、425ブランドが出展(内16%がイタリア国外)、さらに22カ国170人の若者と39人のインディペンデント・デザイナーが参加し、来場者数は、6日間で6万人を超えました。

キーワードの1つとして掲げられた「共有」では新たにミラノサローネのデジタルプラットホームが開設されました。
商品展示ごとにQRコードが表示され、スマホを使って商品の詳細情報を取得し、小売店を通して予約購入できるといった試みや、会場に来れない人でも展示品を観察したり、トークやレクチャーに参加が可能で、リアルとデジタルが融合された新しい展示会となりました。

もう一つのキーワードは「持続可能」。
展示形式は感染対策も考慮し、各企業ごとにリサイクル木材を使ったオープンな仕切りで構成され、展示会後は解体して再利用できる取り組みや、QRコードでの表示にともなって紙媒体での印刷物を無くし、カーボンニュートラルへの取り組みもされました。
また、ミラノの都市緑化プロジェクト 「フォレスタミ – Forestami 」の一環として、東ゲートと会場内には、200本の木が設けられ、6日間のイベント終了後には、ミラノ市内に移植されます。

安全な見本市を目指したsupersalone

今回の展示会では会場内のマスク着用やソーシャルディスタンス確保が義務付けられ、感染対策が最も考慮されました。
入場時には検温に加えて、「COVID-19グリーン証明書」もしくはEUデジタルCOVID証明書のほか、EU域外国で発行された同等の証明書(日本ではワクチンパスポート)、あるいは48時間以内に実施したウイルス検査の陰性証明の提示が求められました。
また、会場には有料で抗原検査を受けることができるハブも4カ所設置され、万全の対策がとられていました。

私自身も日本を出発する時は東京の感染者が急増し、不安な思いでした。
それに加えてワクチンパスポートの取得や日本出国前のPCR検査、EUデジタル位置情報フォームの取得、イタリア出国前と帰国後のPCR検査、そして二週間の隔離とかなりハードルの高い出張となりましたが、やはりデザイナーとして手で素材を感じ、目で色を感じ、椅子やソファがあれば座ってみたい、フィジカルにデザインを感じたい!という思いからイタリアへ向かいました。

様々な出展者の熱い想い

supersaloneの開催にあたって賛同した企業は様々な想いでこの出展に臨んでいました。
イタリアブランドのdriade(ドリアデ)は、今回の限られたスペースの中でファビオ・ノブェンブレのネモアームチェアを始めとするドリアデのアイコン的な3つのチェアをイタリア国旗のカラーで展示。
担当者によると、今回の展示は昨年の厳しいロックダウンを乗り越え、この開催までこぎつけたイタリアの熱い想いをトリコロールで表現したとのこと。
イタリアは昨年の感染拡大、そしてロックダウンでは全国民が厳しい規制を経験し今がある状況です。
まだコロナ禍は続いていますが、この展示会をやる事に意味があり、“イタリアの強さ”をアピールしたかったと話されました。

また、毎年ミラノサローネで取材を続けているModenese(モデネーゼ)はsupersaloneで唯一クラシック家具を出展した企業でした。
クラシック家具の企業は毎年莫大な予算をかけてミラノサローネに臨みます。6日間で展示を終えるのはもったいないくらい、床から壁まで豪華な装飾を施し、お客様を迎え入れてくれます。

ほとんどの企業はローマやフィレンツェ、ベネチアなどミラノから離れた場所に位置し、スケールが非常に大きいクラシック家具の展示はこのフィエラ会場が彼らにとって新作のお披露目会でもあります。
だからこそ私はモダン家具だけでなく、本物のクラシック家具を見るのもミラノサローネの楽しみの1つであり、日本の皆様へ情報をお届けしたいと思っています。

今回はこの様な展示形式であっても出展した考えを聞くと、「私たちは長年このミラノサローネに出展するということは伝統であり、ここに来る事に意味があるのです。だからどんなスペースであっても参加することは私たちにとって当たり前のことなのです」と語ってくださいました。

この様な企業の想いを聞き、私も何とかしてイタリアへ来た意味があったと感じることが出来ました。
同じ様な想いをした人たちが灯台のようにデザインの光を灯すこのフィエラ会場に集まったのではないかと思います。

今回はこんな熱い想いから、私なりに視察したトレンドをマテリアル・カラー・スタイルに分け、そして数あるブランドの中から私が注目する2021ハイライトをレポートいたします。

次回は2022年4月5日~10日の日程で、第60回となるミラノサローネが開催される予定です。
その時には世界中で穏やかな暮らしが戻りますように。

FILO WORKS
橋口 典代  

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