毎年好評の、日本流行色協会「JAFCA」が提案するトレンドカラー。
今回は、この春夏のおすすめのカラーをご紹介します。
写真とトレンド情報提供は、一般社団法人日本流行色協会(JAFCA)https://www.jafca.org/
新型コロナウイルスのパンデミックは、時代の変化を加速させるきっかけになりました。
「2021年の色」は、希望を胸にゼロから考えるという意味を込めて、
清潔さを表現するためにも欠かせない白・「Zero White(ゼロホワイト)」が選定されました。
※「2021年の色」は、その年のムードを“色”で表現したものです。
今シーズンのテーマ「Circular」には、SDGs(持続可能な開発目標)の目標達成のための取り組みとして注目されている「循環型経済(サーキュラーエコノミー)」への思いが込められています。また、新型コロナウイルスのパンデミックにより、空気の「循環」も最重要課題となりました。特に「窓まわり」は、空気の循環が目に見えるデザインの場として、注目が高まっています。
新型コロナウイルスのパンデミックで私たちの生活は大きく変わりました。急速に進むデジタル化や先行きへの不安でストレスが募る今、「心身をニュートラルな状態に戻してくれる色」が求められます。ひと言で言えば自然界に見られる色調で、適度な色みを感じさせながら刺激を抑えた「ニューニュートラルカラー※」です。近年注目されている「バイオフィリックデザイン」は、ニューニュートラルカラーの中でも特に、グリーン、ブルー系とブラウン系を活用して表現します。ブラウン系では、赤みを含んだブラウン、ピンクみを帯びた優しいブラウンに注目しています。
※「ニューニュートラルカラー」の定義についてはJAFCAホームページをご覧ください。
心身をニュートラルにする一方で、新しい出発に向けて心身を元気づけてくれるような色も重要になります。春先に抱く期待感を表現するイエロー、咲き誇る花々のような気持ちを高揚させるピンクやオレンジ、栄養豊富な野菜や、楽しい食卓での会話を思わせるような、赤紫、イエローグリーンなどを適宜加えて活用するとよいでしょう。
近年オープンした商業空間では、その地域の特徴を伝えるデザインが増えています。その地域ならではの土の色や木の色、民芸の色などを積極的に活用する傾向が目立ってきています。こうした色には独特の存在感やまた安心感、素朴さなどが感じられます。藍染のブルー、鈍いオレンジ、辛子色といった色を、アクセントカラーとして室内に取り入れてはいかがでしょうか。
大澤かほる一般社団法人日本流行色協会 カラークリエイティブディレクター。
東京造形大学彫刻科を卒業後、求人広告営業、彫刻家助手、市場調査分析を経て、現職。
カラートレンド予測と分析、カラー戦略策定、色彩教育、執筆と「色事すべておまかせ!」をモットーに日夜色彩関連の仕事に励む。インターカラー日本代表。