毎年好評の、日本流行色協会「JAFCA」が提案するトレンドカラー。
今回は、この春夏のおすすめのカラーをご紹介します。
写真とトレンド情報提供は、一般社団法人日本流行色協会(JAFCA)https://www.jafca.org/
気候変動が深刻化し、「異常気象」が「異常」でなくなるような自然災害が多発しています。
今回のカラーテーマ「“Progress My Universe(プログレス・マイ・ユニバース)”」には、「地球の自然を再生する」と、「“個”の能力を発展させる」という2つの願いを込め、これまで以上にサステナブルを強く意識したカラーを選定しました。
リビングや子ども部屋などには、自然を感じさせる色をベースに、白や黄色のアクセント使いで「光」を増幅。エクステリアとインテリアで共通の素材や色を用いると、シームレスな空間演出ができます。
寝室などには、「大地」の表面をイメージさせるブラウン系や鈍いイエロー系、オリーブをベースに、「鉱物」をイメージさせるカッパーやゴールド、半透明な黒などをアクセントに。
シックで居心地のよい空間ができます。
リモートワークやホームシアター用のお部屋には、ブルー系やグリーン系、白をベースにするのがおすすめ。中〜高明度なら夜明けの静けさを、低明度なら夜の静けさを演出できます。
新型コロナウイルス感染症の蔓延により、多くの方が精神的にも経済的にも傷つけられました。
そんな今の時代には、壁や天井など大きな面積を占めるベースカラーに、安心できる土台を感じさせる色や静かな気持ちでいられる色が多く使われています。
日本のインテリアはこれまで「白い壁」が多用されてきましたが、「白」は実は刺激が強い色です。静かな気持ちになれる空間には、私たちを柔らかく包んでくれるグレー系、特に色みを含んだ優しいグレーがおすすめです。ニュアンスのあるグレー系は自然の石や木など様々な質感をも想起させる色です。ピンク系のベージュなどと組み合わせて、マーブル模様やグラデーションなどで表現してもよいでしょう。
2021年秋冬のカラーグループでは、深い森の湿度を感じさせるような落ち着きのあるダークカラーを提案しています。シダ類やコケを育む森の日陰を思わせるような深い青みを帯びたグリーンや、木々の間からのぞく夜空のダークブルーなど、ダークカラーの中でも寒色系が注目されています。
ダークブルーは私たちの生活の中で「藍色」として古くから馴染みのある色です。蓼藍(タデアイ:藍色の染料になるタデ科の植物)で染色された布は殺菌効果があり、清潔な生活を営むための「機能性」を持つ色としても活用したい色です。
近年は、一般の住宅でもアクセント効果がある色を壁の一部に使う傾向が顕著になりました。藍色(ダークブルー)は目立ちすぎず、適度なアクセントカラーとして欠かせない色になるでしょう。
およそ2年間続く感染症への不安は、私たちから「希望」を奪ってしまいました。それでも未来へ向かって一歩を踏み出すために、少し刺激の強い色をほんの少しアクセントカラーとして使ってみるのもおすすめです。
蛍光ピンクは光を感じさせる強い刺激を持つ色ですが、グラデーションや透ける素材、ふわふわした素材に展開すると、強い刺激が適度な躍動感に変わります。オレンジはグリーンやブルーの対照系の色相で、ブラウン系やグレー系のベースカラーのアクセントとしてこれまでも多用されてきた色です。生活へのスパイスとして、ピンクやオレンジを楽しみながら使ってみてはいかがでしょう。
大澤かほる一般社団法人日本流行色協会 カラークリエイティブディレクター。
東京造形大学彫刻科を卒業後、求人広告営業、彫刻家助手、市場調査分析を経て、現職。
カラートレンド予測と分析、カラー戦略策定、色彩教育、執筆と「色事すべておまかせ!」をモットーに日夜色彩関連の仕事に励む。インターカラー日本代表。